ビルメンの仕事に限らず、人生の時間の内、大きな部分を占める仕事を選ぶにあたって、人それぞれ求めるものは違うかと思います。
ビルメンの現場の仕事を30年、勤めてきた私視点から見る、ビルメンの仕事で満たされるもの、逆に満たされないものを考えてみました。
ビルメンのやりがい
一般的に、基本的には裏方仕事ですし、仕事内容自体も汚れたりすることも多く、良いイメージを持たれてる場合は少ないかと思います。
そもそもビルメンという仕事自体が、未だに認知されていない部分も多い様に感じます。
そんな状況ですから、かっこいいなどと思われることはほぼないでしょうし、昔なんかは作業服がイケてない会社も多く、人前で仕事をしているとなんか失笑を受けている様に感じる状況も割と経験した覚えがあります。
最近は、会社のイメージをより良いものにしようとする動きもあり、作業服なども今風とまでは言わなくても、それなりのものを採用している場合が多い様に感じます。
まぁ個人としても、年齢を重ねると周りの目を気にしなくなるって来る部分も多いかもしれません。
また、今となっては仕事をいかに的確に行っていくかに重点を置くようになり、仕事に対する自信も備わり、ある種プライドを持って仕事を行えているのかもしれません。
基本的には、オーナーさんなどの評価が、仕事の評価に繋がる事も多いでしょうし、「いつも頑張って貰っている」など感謝の言葉を頂ける場合などに、やりがいを感じたりする事が多いのではないでしょうか。
まぁ仕事としてやっている以上は、それを踏まえて来年の契約金額の増額を提案して貰えるくらいになれば、いう事はないんでしょうけど、そこは目に見えた成果が求められる部分かもしれませんし、何だかんだ高いハードルが存在しているのも確かもしれませんw
またちっさな話になりますが、地味に空調機やエアコンのフィルターなんかの、汚れを掃除してキレイにするのが好きな人なんかは、割とビルメン向きのタイプだと個人的には思っていたりします。
ちっさなやりがいですが、最初の内はそういう部分の積み重ねも大切な様に思います。
休みやすさ
仕事の休みの取り方は、現場によって様々な場合が多い様に感じますが、基本的に現場としては年中無休の場合が多いかと思います。
家庭持ちで、土日祝日休みが希望の場合は、必ず希望する週末に休めると言った事は難しいかもしれませんが、ある程度人数がいる大きな現場の場合や、平日の特定の曜日を休みたいなどの場合は、割と融通が利く場合が多いのではないでしょうか。
権限のない現場主任をしている私としては、基本的に他の係員のしわ寄せを吸収している立場になりますが(笑)
まぁ、一部の希望が偏ってしまうと、調整する難しさはあるかもしれませんが、ビルメンをしている人で、土日は絶対休みたいなどの希望を言っている人はあまり見ない様に思いますし、その辺は承知の上でビルメンをしている人が多いのかと思います。
また、宿直がある場合は、宿直明けで業務が終われば、明け休みと次の休みと合わせて自由な時間を多く取れる場合も多いでしょうから、その部分をメリットと思う人も多いかもしれません。
残業はしたくない
現場に欠員が出ていたり、急な病欠などがない場合などは、基本的には残業などはほとんどない場合が多いのではないでしょうか。
と言いつつ、私の現場では欠員による宿直明け残業は多いので、希望者が主にその残業を引き受けて、残業代を稼いでいると言うのが現実ではありますが、残業を希望する人も一定数いる為、何だかんだでバランスを取って現場を回している状況ではあります。
まぁ希望しない人は、徹底的に残業なんかしたくないと思っている様で、やむを得ずでも残業がちょっと増えた場合などは、不満を溜めてしまう状況になったりしますし、より少数の現場などは普段から応援体制などをしっかり整えておかないと、いけないのかもしれません。
その点、人数の多い現場であれば、ある程度現場で余剰や欠員は吸収できますし、実際の現状として、残業希望派と残業拒否派の割合が「4:6」程度となっており、それなりにうまく回っているという印象です。
ただ会社的に、人材は確保できる時に確保しておきたいとの方針から、欠員は解消していく動きがありますし、その場合残業希望派の残業が余剰になってしまう事から、その場合残業代が減るかなーと、私自身も残業で稼いでいる部分があるので、何か考えとかないとと思っている今日この頃ではあります。
給与はもっと欲しい
どの記事をみてもこの手の話が出てきてしまうのが、ビルメンをしていく上で悲しい部分ではありますが、仕事内容とその給与とを天秤に掛けて、何とか納得しながら続けている人が実際多いのが現実かもしれません。
まぁ人の欲望は無限で、人より貰っていてもより多くと望んでしまうと言いますし、逆にそれが仕事を続けて行くモチベーションにも変わり得ると思いますし、より良い仕事を提供できるなら、それに応じた待遇は求めて行くべきだとも思います。
給与規定に昇進規定が設定されているビルメン会社がどれほどあるのかは不明ですが、資格取得に対しての手当てはほぼ設定されているかと思います。
現場でいくら頑張っていても、会社の上層部にその働きが評価されることは、きっかけがないと難しいのが現場仕事かと思いますし、その点でより他社との比較で目に見えて分かりやすいのが、資格取得による手当増かと思います。
現場異動などの際にも、必要資格が揃っているだけで印象は変わりますし、ビルメンの評価基準として転職しても有効になる部分も大きなメリットだと思います。
仕事はあまりしたくない
ビルメンの給与はそれなりだと現実を知った後に陥りがちなのが、この位の給与だからこの程度の仕事をしておけばいいんでしょ。というロジックになりますw
まぁこれもビルメンに限らず、一定割合でそう言う方針を頑なにモットーとしてる人がいるのが実際かとは思いますが、労基に駆け込んでまで徹底的に会社と闘っている人もその昔にいましたが、何がなんでも仕事をせずに給与を得るか的な姿は、完全に周りから浮いており、主張が正しいとしても何とも共感できない生き様だと感じる状況がありました。
個人的には、今の会社はそこまでブラック体質ではないものの、少し昔に遡ると就業規定上問題があるのではと疑問を覚える部分があったのも事実かもしれません。
仮眠時間は就業時間なのか、宿直手当は適切か、などの部分は改めて労基の担当者に問い合わせても、当時この規定がよく了承されたななどと言われる状況もあった様です。
本来の宿直手当が、ただ待機している程度の勤務しか許されないなどと言った基準に適合する現場はほぼ皆無で、現場状況と法律規定が完全にすり合わせが出来ないなどの状況も、適法でないのではと言われがちになる要因ではある様です。
まぁその辺の話はさて置き、カラダを壊すほどの過度な労働は好ましくないのはもちろんですが、労働者として労働を対価にしている以上、必要とされる業務については嫌な顔を見せずに、快くこなして行って貰いたい。と思っていまうのはやはり責任者からの立場のせいでしょうかw
ビルメンを取り巻く人の笑顔
ビルメン業務を行う上で、直接建物の利用者の方から感謝をされる様な場面は、あまりないかと思いますが、その関係者の面々となると否が応でも長い期間顔を合わせたりする事になりますし、業務上のやり取りをする機会も増えることになるかと思います。
別現場の人の話で、ビルのテナントとして入っているショップの空調の温度設定などで、ショップの若い女性の店員さんから相談された時などは、やっぱり親身になって対応してあげたくなるし、対応ののちに感謝されたらやっぱり嬉しいなどと、ベテランビルメンさんが笑顔でおっしゃっていたのも印象的でした。
若くなかったらいけないのかよ。と突っ込まれそうですがw そう言った日々の小さな感謝の積み重ねが仕事のやりがいに繋がる事もあるでしょうし、またそういう仕事を続け積み重ねていく事で、オーナーなどからの信頼もより強いものになっていくのだと思います。
お金を稼ぐ事が目的の仕事だとしても、やはり社会の繋がりや社会から必要とされる部分は、人が生きていく上で必要なことだと思いますし、必要とされる場所に居ることも重要だと思います。
現場の状況によっては、上司がずっと怒っていて仕事がしにくいなどの状況がある場合もあるかもしれません。
確かに病院現場などは、より精度の高い業務を求められ、そうせざるを得ない状況になる事もあり、そこで楽しく業務を行った方がいいなどとの言い分は、現場を知らない人の意見と言われてしまいそうですが、大変な業務の中でも、それぞれがより快適な業務環境を目指して、少しでもお互いが良くしていければ、理想的なのではないかと思わずにはいられません。